俳優・アーティスト のん が手がける「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。-群れる-」7月31日〜10月13日 国立民族学博物館で開催。「可愛くて、不気味」な世界観を表現

大阪関西国際芸術祭実行委員会は、俳優・アーティスト のん が手がける「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。-群れる-」を黒川紀章建築の国立民族学博物館(特別展示場地下会場)で2025年7月31日(木)〜10月13日(月)の期間で開催します。俳優・アーティスト のんは、私は、リボンアートと題してリボンを使ったアートを何年も追及しているのですが、今回は「群れる」というサブタイトルを付けて展示を準備をしました。ぜひ、お越しください。」と述べました。

「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」後半に向けて のん のインスタレーション作品が国立民族学博物館の地下空間に拡張

国立民族学博物館は、4月13日から開催しているStudy:大阪関西国際芸術祭 2025の展示会場のひとつです。「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。-群れる-」は、同館の創設50周年記念特別展「民具のミカタ博覧会―見つけて、みつめて、知恵の素」の協力事業の一環として、1階エントランスで展示してきた《背中に結んだリボン(こけし灯篭)》を本芸術祭の会期後半に向けて特別展地下会場に大きく拡張するものです。

のんがこれまでモチーフとしてきた、こけしや赤べこ、白べこ、七夕飾りは、日本各地で古くから民具として受け継がれてきた造形物であり、作品を通して民具が将来に受け継がれていくための新たなミカタを作り出します。7月31日からは「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。-群れる」として、背中に赤いリボンを多層に纏った10体の新作を含む15体もの《こけし灯篭》が黒い地下空間の中に揃い並ぶ大規模なインスタレーションを展開します。《ちょうちょを纏った、白べこ》、《真っ赤童の巣》、《七夕飾り》といった「可愛くて、不気味」な のんのリボンアートの世界が繰り広げられます。

7月31日からの一般公開に先駆けて開催された内覧会で、のんは、今回の展示について、以下のように語りました。

作品を通して、伝えたいメッセージ

「私は、リボンアートと題してリボンを使ったアートを何年も追及しているのですが、今回は「群れる」というサブタイトルを付けて展示を準備をしました。「群れる」というのは最近、私のなかでテーマになっていて、人間も動物も群れる行動をしますが、アートとしてつくられたものを群れさせるとどう見えるのかということを表現したくて、何か感じるものがあるかと思いつくりました」

注目してほしいところ

「青森のお祭りで使う「こけし灯篭」を、職人さんとコラボレーションして新しく10体つくりました。今回は、夏の展示なので夏の花や果物をモチーフにしています。そして、大小さまざまな「真っ赤童(まっかわらし)」を219体展示しています。ikuno art stay 2023 non ribbon artで古民家に展示したときは、一室を埋め尽くすように配置して怪しさと可愛さを表現したのですが、今回は、埋め尽くすのではなく空間に凝縮させることで群れている様子が浮き上がるように展示しています」

国立民族学博物館での展示について

「今回の作品は、国立民族学博物館にインスパイアされたもので、日本の民芸とコラボレーションしています。この展示を観たあと、もしくはその前に博物館の展示を観ていただくと世界観に浸っていただけるのではないか、と思っています」

「そして、「太陽の塔」は、生で見て本当に感動しました。 目に入ったら心が惹きつけられて、すっと通り過ぎることができない威力を放っていて、心臓に突き刺さりました。岡本太郎さんは、ちょっと不気味だけど、魅力的で不思議な力をもっているアーティストなので、好きです」

28825-132-9c3bafe65d799b4ed3d84271bdf2fbe9-1801x2700-1 俳優・アーティスト のん が手がける「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。-群れる-」7月31日〜10月13日 国立民族学博物館で開催。「可愛くて、不気味」な世界観を表現

キュレーターを務めた元川崎市岡本太郎美術館の学芸員の仲野泰生さんは「70年大阪万博の象徴である太陽の塔と民族学博物館の繋がりを、今回ののんさんの作品で可視化されたこの展示を、ぜひ観ていただきたい」と語りました。

大阪関西国際芸術祭 総合プロデューサー鈴木大輔は、「7月31日からの「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。-群れる-」、国立民族学博物館の世界各地から収集されたコレクション、そして、Study:大阪関西国際芸術祭 2025の各会場を巡ってお楽しみください。」と語りました。

「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。-群れる-」:開催概要

イベント名称:Study:大阪関西国際芸術祭 2025

展示名称:のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。-群れる-

アーティスト:のん

キュレーター:仲野 泰生(京都場館長、元川崎市岡本太郎美術館学芸員)

会期:2025年7月31日(木)〜10月13日(月)

公式HP:https://osaka-kansai.art/

展示会場:国立民族学博物館(みんぱく)(大阪府吹田市千里万博公園10-1)

     (特別展地下会場で展示しています。) 

    (みんぱくについて https://www.minpaku.ac.jp/

協力:東京リボン

料金:有料

「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」チケット、もしくは国立民族学博物館のチケットが必要です。
「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」チケット購入について
ネットでの購入もしくは、みんぱくショップでの購入が可能です。
チケット購入:https://osaka-kansai.art/pages/ticket

※万博記念公園(有料)への入園について

・「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」チケットもしくは国立民族学博物館のチケットをお持ちの方は、万博記念公園内を無料で通行できます。万博記念公園各ゲート有人窓口で「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」チケットをご提示いただき、通行証をお受け取りください。

・万博記念公園をご利用になる場合は、同園入園料が必要です。

※国立民族学博物館の観覧料割引

・国立民族学博物館の券売所で「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」チケットをご提示いただくと、本館展示を割引価格(団体割引)で観覧いただけます。

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作品のご紹介

■赤べこ白べこの部屋

福島県会津地方の伝統的工芸品。「赤べこ」に のんがRibbonを纏わせました。

■真っ赤童の巣

座敷童がモチーフとなり、219体のリボンを纏ったこけしを展示。空間全体を使って点在する多種多様な表情のこけし達を探し見つける楽しみを。この中にも「あなた」が潜んでいるかもしれません。

■こけし灯篭街道

こけし灯篭15体が奥行きのある空間に整然と並ぶ、あやしく不気味な灯篭街道を縫うように歩きます。

津軽伝統工芸「こけし灯篭」とコラボしたリボンアート。

表面のデザインを のんが行い、職人が絵付けし、背中にリボンアートをまとわせました。

■作品に関するエスキースや七夕かざり

作品世界を補足する手がかりを。こけし灯篭が生まれるきっかけを知ることができます。

仙台PARCO店内に飾られた、全長約3メートルの七夕飾り。

のんのリボンアートと、伝統的な仙台七夕飾りのコラボレーション。

のん Ribbon アートについて

■二面性の表現

のんのリボンアートの最大の特徴は、可愛らしさと不気味さが共存する二面性にあります。リボンは一般的に可愛らしさや装飾性を象徴する モチーフですが、のんの作品では不気味さや暗さも併せ持つ複雑な表現となっています。この相反する要素の融合が、作品に独特の魅力と深みを与えています。

■多面的な解釈

のんは、リボンアートが見る人によって異なる印象を与えることを意図しています。ある人には可愛く見え、別の人には不気味に感じられる という多面的な解釈の可能性を重視しています。この多様性が、作品の奥深さと観る者の想像力を刺激する要因となっています。

■伝統との融合

最近の作品では、東北の伝統工芸品とのコラボレーションも試みています。こけし灯籠や赤べこなどの伝統的なモチーフにリボンを組み合わせることで、古典と現代アートの融合を実現しています。この試みは、日本の文化的要素を現代的な視点で再解釈する新しいアプローチ として評価できます。

■空間との調和

のんのリボンアートは、展示空間との調和も重要な特徴です。和室や古民家など、日本の伝統的な空間に作品を展示することで、リボンアートと和の空間が溶け合う独特の雰囲気を創出しています。この空間演出は、作品単体だけでなく、環境全体を含めた総合的なインスタレーションとして芸術体験を提供します。


■感覚的アプローチ

のんは創作において、理性的な判断よりも感覚的なアプローチを重視しています。「好き」という感情や五感を刺激する体験を大切にし、皮膚感覚を動かすような作品づくりを目指しています。この感覚的なアプローチが、観る者の本能的な反応を引き出す要因となっています。 のんのリボンアートは、単なる装飾的な作品を超えて、観る者の感情や解釈を揺さぶる力を持っています。可愛らしさと不気味さの共存、伝統と現代の融合、空間との調和など、多層的な要素を含む彼女の作品は、現代アートの新しい可能性を示唆しているといえるでしょう。

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可愛さと不気味さ「のん」のマルチな対極主義

本展キュレーター 仲野 泰生 (京都場館長、元川崎市岡本太郎美術館学芸員)

 1970年日本万国博覧会のテーマプロデューサーだった岡本太郎はテーマ館として《太陽の塔》を作りました。《太陽の塔》は70mの巨大な建造物。内部には41mの「生命の樹」があり、292体の生命体が配置されています。地下展示室には世界中からの仮面や神像が東京大学と京都大学の若き文化人類学者たちによって収集されました。地下展示室に集められたこれらの民族資料が現在の国立民族学博物館の基幹資料となりました。

 岡本太郎は約2500点の資料の中に岡本太郎自身の作品を一緒に展示。その中に岡本太郎の対極主義の思想を具現化した立体作品《NON》もありました。

 今回、のん が《太陽の塔》の裏側に位置する国立民族学博物館で展覧会を開催します。本展のメインとなる作品は「こけし」です。《背中に結んだリボン(こけし灯篭)》は仙台PARCOで展示された作品。この春に民博のエントランスにその作品5体が展示され、来館者から多くの好評の声をいただきました。今夏の展覧会ではこけしの新作が10体追加され15体の《こけし灯籠》が黒い空間の中に揃い並びます。のん の《こけし灯籠》の作品は正面から見ると伝統的なこけしの形をしています。しかし、こけしの背面には赤い幾つのもリボンが貼り付いているのです。このリボンの群れは私たちにゾワゾワとした感覚、皮膚感覚を与えます。

 こけしのデザインは のん 自身が描いたもの。今回そのデザイン画(原画)も出品されます。彼女の発想の源を見ることができると思います。正面からの可愛いこけしの背面には不気味な赤いリボンの群れ。可愛いの裏側には不気味さが。

 《太陽の塔》の作者である岡本太郎はパリ時代に赤いリボンを付けた傷のある腕の作品《傷ましき腕》(1936年)を描いています。人間の存在は両極の要素で成り立っているのかも知れません。喜劇と悲劇、抽象と具象、そして可愛いと不気味さ。

岡本太郎はその相反する考えを対極主義として自身の考えの根幹にしていました。

 今回の のん の《のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。-群れる-》はマルチな才能を最近ますます発揮している彼女の新たな対極主義なのかも知れません。

 民博は世界の民族資料の宝庫です。こけしのコレクションもあります。のん のこけしの世界観と、民博のこけしを観て比べるのも面白いかも知れません。

 2025年の大阪万国博覧会の時に1970年万博の象徴であった《太陽の塔》のお膝元の民族学博物館で のん の展覧会を行う意味はとても大きいと思います。

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